鬼畜勇者

鬼畜勇者の異世界召喚 2話 鬼畜勇者 冒険者ギルドに行く

「冒険者ギルド」

それは転生人が絶対に行く場所の1つである。

そこで様々依頼を達成し、金を稼ぎ、実績を上げていく。

時に権力者や美男美女の絡む依頼を受け、彼らとの縁を結んでいく。

まさに最初の成り上がりの舞台と言える。

ミコト「というわけでスサノオ様、まずは冒険者ギルドに行きましょう」

スサノオ「却下、めんどくさい」

鬼畜勇者にはお約束というのが通用しないようである。

スサノオ「そもそもオレ様は、魔族を退治するために召喚されたのだ。なんでギルドなんかに行って雑魚を倒さねばならない」

ミコト「金はどうやって稼ぐのですか?」

スサノオ「あのジジイどもから金はもらったのだろう。なくなったら、またもらいに行けばいいだろう」

確かに召喚された身としては正論かもしれない。

ミコト「つまりスサノオ様は、王や貴族から金を恵んでもらうのですか?」

ミコトはわざとらしく驚いた表情をする。

ミコト「城では近衛騎士よりも遙かにお強いと聞きました。そんなスサノオ様がプライドを捨てて金を恵まれに行くなんて。ペットと同じように尻尾を振りに行くのですね」

プライドの高いスサノオに向かってミコトはペットと同列として煽った。

スサノオ「そんな訳あるか、バカ者!」

スサノオ「このオレ様がジジイ共から施しを受けるわけないだろう!」

ミコト「それでは冒険者ギルドに行ってお金を稼ぎに行きましょう」

金をもらいに行かないと断言した手前、スサノオは次の反論が思いつかなかった。

ミコトは誘導尋問が終わって部屋から出ようとしたが、後ろからスサノオに抱きつかれた。

スサノオ「良いだろう、お前の提案に乗ってやる」

でも癪だからお仕置きだ!

スサノオはミコトをベッドの上で「お仕置き」した。

ミコト「ぜぇぜぇ、スサノオ様はなんで何回もできるのですか」

先ほど「何でも」してもらってから、さほど時間はたっていない。

「お仕置き」の後、2人は冒険者ギルドにやってきた。

入ってすぐに受付に向かった。ミコトがメイド服のままであり、町中よりも探るような視線が増えている。

受付嬢「こんにちは、初めての方ですよね」

受付嬢が美人と言うのはどこの世界でも共通なのかもしれない。

スサノオ「こんにちはお嬢さん。今から食事にでも行きませんか」

受付嬢をナンパする輩がいるのも世界共通かもしれない。

そしてそんなナンパ野郎に強烈な殺気を向けられるのも世界共通らしい。

受付嬢「ごめんなさい、Aランクになってから誘ってくださいね」

言われ慣れているのだろう、世界共通のお断りをされている

ミコト「スサノオ様恥ずかしいから止めてください。2人の冒険者登録をお願いします」

受付嬢「それではこちらのカードに血を垂らしてください」

ミコトがスサノオを急かしながら、2人とも血を垂らした。

カードに血が吸い込まれていき、やがて淡い光を発した。

受付嬢「はい、これで登録完了です。数時間もすれば名前とランクが浮かび上がってきます。カードの再発行に1万ゴールド必要ですからなくさないでくださいね」

受付嬢「それでは冒険者ギルドの説明に移りますが」

スサノオ「面倒だからパス。ミコトは聞いておけ」

スサノオは隣接されている酒場の方へ足を向けて、

スサノオ「お嬢さん、オレ様が1ヶ月以内にAランク以上の強さだってわかったら、最高の酒をごちそうさせてもらうよ」

受付嬢に背を向けながらスサノオは立ち去った。

ミコト「すいません、うちのスサノオ様が」

受付嬢「良いですよ。ああ言う人も多いですから。ミコトさんの方が大変じゃないですか?」

ミコト「確かに大変ですけど、悪い人じゃないんですよ」

ミコトは古傷があった場合を撫でながら答えた。

受付嬢「それでは気を取り直して、冒険者ギルドについて説明させてもらいますね」

受付嬢は慣れた口調で説明に入った

受付嬢「冒険者ギルドの方々は依頼を受けることができます。ただ依頼にはランクが決められており、自分のランクより1つ上までしか受けることができません」

ミコト「どうして制限がかけられているのですが?」

受付嬢「依頼に失敗すると依頼者に迷惑がかかることもありますが、高難易度の依頼では怪我をしたり、時には死んでしまうこともあるからです」

受付嬢は一呼吸置いて少し高ぶった感情を元に戻した。

受付嬢「優れた冒険者はすぐには現れません。新人を適正な経験を積ませて、ベテランになってもらわないとギルドもやっていけませんから」

この世界に冒険者なんて輩は大勢いる。でもけっして冒険者を鉄砲玉のように雑に扱わないこの受付嬢にミコトは好感を持った。

受付嬢「ギルドランクは基本、依頼を達成するごとに上がります」

ミコト「ということは基本じゃない上がり方もあるのですね」

受付嬢「その通りですが、ギルドマスターが認める実力でなくてはならないので、ほとんどないですよ」

そしてその後も受付嬢の説明は続いた。

依頼の受け方、報酬のもらい方、素材の買い取りなど。

受付嬢「最後になりますが、冒険者同士の争いは当人同士で解決してもらいます。ギルドは一切関知しません」

ミコト「気の荒い冒険者のトラブル対応をしてたら時間がいくらあっても足りませんからね」

受付嬢「スサノオさんも気をつけるように言ってくださいね。ケンカや決闘で怪我して引退する人もいますから」

笑いながら説明する受付嬢であったが、ミコトしたら笑い話ではなかった。

あの鬼畜勇者スサノオが何も起こさないわけないのだから。

「おう、ネーちゃん。良い尻してんな」

ミコトの後ろにいた男が手を伸ばそうとした瞬間、男は吹き飛ばされていた。

スサノオ「オレ様の召使いに何しようとしてんだ」

スサノオの静かな声がギルドに響いた。