鬼畜勇者

鬼畜勇者の異世界召喚 4話 鬼畜勇者 ギルドランクを上げる

「ギルドランク」

ギルドの会員につけられる序列であり、会員が無駄死にしないように適切に認定されている。

高ランクであれば新参者でも人目置かれ、恩恵を受けると同時に義務を果たすことになる。

またランクによっておおよその年収を推測することができ、マウントの取り合いが行われる。

異世界人は偉業を成し遂げることでいきなり高ランクに認定されることが多く、多数の冒険者から良くも悪くも注目される。

鬼畜勇者のギルドランクがどこまで上げるかは誰もわからない。

細身の男性「もうここまでで良いでしょう」

観衆の中から細身の男が現れた。彼は倒れている冒険者達に活を入れ意識を戻している。

細身の男性「冒険者相手にここまで見事な手加減をできるなんて素晴らしいですね」

観衆のほとんどは理解していなかったが、一部の高ランクの冒険者と負けた本人はよくわかっていた。

スキンヘッド「全くだ。こっちは本気を出して打ち込んだのに、怪我もせずに負けちまうなんてな」

冒険者同士のケンカなど、例え拳でも相手に怪我をさせてしまうことが多い。

今回のように武器を使った場合であれば、打ち身や骨折などの怪我は当然あり得る。

だから受付嬢は本気で止めようとしたのだ。

細身の男性「彼は相手に怪我をさせずに勝ち続けたんだ。これ以上やっても無意味でしょう」

スサノオ「そうだな。オレ様も肩慣らしはこれで充分だ」

細身の男性「それじゃあ、スサノオさんとミコトさんは僕の部屋まで来てくれるかな」

細身の男性が出口に向かうと観衆は波が引くように道を空けた。

スサノオとミコトも彼に続いた。

細身の男性「はじめまして、といった方がいいかな。王都のギルドマスターのジークです」

ジークと名乗る男は椅子に腰を落とした。

ジーク「名前を教えてもらってもいいかな」

スサノオ「オレ様の名前はスサノオだ」

ミコト「ミコトと申します、ジーク様」

スサノオ「様をつけるな『様』を。お前が『様』とつけて良いのはオレ様だけだ」

ミコトの頭をグリグリしながら、スサノオは叱りつける。

ジーク「スサノオ殿の言うように、様をつける必要はありませんよ。私はただギルドマスターに任命されているに過ぎません」

ミコト「見てくださいスサノオ様。あれが大人というやつですよ」

大人のギルドマスターは再びグリグリを始めたスサノオ達を笑いながら見ている。

ジーク「本題に入ろうか。わざと他の冒険者を怒らせてケンカをしたわけだけど、何が目的なんだい?」

グリグリによる物理攻撃からボディータッチによるセクハラ攻撃に以降し始めたスサノオに問う。

ジーク「金を稼ぐためだけに、あんなことをした訳ではあるまい」

スサノオ「いや、金のためだけだぞ」

部屋に沈黙が走った。

ミコト「ジーク様、本当のことです。スサノオ様は・・・って人前でスカートをめくろうとしないでください」

スサノオ「ほう、では人前でなければ良いんだな」

ジークに『様』付けをしたミコトにスサノオはちょっかいを出し始めた。

完全に空気と化しているジークが咳払いをしながら、話を元に戻そうとした。

ジーク「つまりスサノオ殿はお金のためだけに、『訓練』をしたわけだ。けどそれだと困ったな」

スサノオ「ギルドでは冒険者同士の争いに関知しないんだろ」

ギルドのルールをギルドマスターのお前が破るのか。そのようにジークを見ながらスサノオは口を動かしす。

ジーク「別に『訓練』したことについては何も問題ないよ。賭けをしたことは抜きにしても、スサノオ殿は加減して怪我人を出さなかったからね」

ミコト「では、何が問題なんですか」

ジーク「スサノオ殿はギルドランクを上げようとして、実力を見せつけていたとばかり思ってしまったからね。あてが外れてしまったよ」

ジークは軽く笑いながらスサノオとミコトの2人を見つめた。

スサノオ「ギルドランクなんぞお断りだ。面倒を押しつけられるだけだ」

ミコト「スサノオ様、もらえる物はもらっておくべきではないでしょうか」

スサノオはミコトに目を向ける。彼を納得できなければミコトのお仕置きは確定のようだ。

ミコト「受付嬢のレイラさんが言っていたじゃないですか。『Aランクになってから誘ってくださいね』と。」

スサノオは受付嬢にあっさり流されたことを思い出す。

ミコト「この世界では高いギルドランクは勲章みたいな物ですよ。高ランクというだけで特別扱いされやすくなります」

スサノオ「なるほど、高ランクであれば女にモテる訳だな!」

高ランクであればモテやすいが、必ずモテる訳でもない。そしてそのことをミコトはわかっているがスサノオに言わなかった。

スサノオ「おいジーク、オレ様は最強だ。最高ランクにしろ」

ジーク「スサノオ殿が強いとしても、さすがにそれは無理ですよ」

ランク付けにはルールがあり、ギルドマスターの特例にも限界がある。

ミコト「スサノオ様、最高ランクでは誰も信じてくれませんから、敢えてここはBランクくらいにしておくべきですよ」

能ある鷹は爪を隠すという奴です。Bランクまで上げておきながら、爪を隠すというのもおかしな話であるが、ジークは突っ込まない。

スサノオ「そうだな、なら凡人が理解できるBランクにしておいてやるか」

スサノオは納得した。ミコトは「お仕置き」の回避した!

スサノオ「だが、オレ様に偉そうな口を聞いたから帰ったら『お仕置き』だ」

ミコトは次の「お仕置き」を回避できなかったようである。