ゼノブレイド2

ゼノブレイド2 黄金の国イーラ レビュー 本編やったならやらなきゃ損

ゼノブレイド2 黄金の国イーラをクリアしました。追加シナリオでありながら、かなり作りこまれています。

本編から500年前のメツ討伐の話であり、本編を楽しめた方なら是非やってほしいです。

プレイ時間は20時間・本編の1章分くらい

プレイ時間はクリアするまで約10時間かかりました。だいたい本編の1章分くらいでしょうか。やりこみを含めると20時間以上かかると思います。

DLC発表時は30分くらいのあっさりした内容だと思っていました。というのもDLCは一括購入方式であり、追加ブレイド・アイテム・クエストそして今回の追加シナリオを含めて約3,000円でした。この値段なら30分あればいいほうです。

ところがゼノブレイド2の人気が高まるにつれて追加シナリオのほうにも期待が集まりました。そして追加シナリオだけでも遊べる別売りパッケージまで発表され、ファンを驚かせました。

おそらくこの別売り戦略はDLCをより購入させる意味を持っています。

追加DLCは約3,000円。別売りパッケージは約4,000円。

DLCの方が安く、内容もお得だからです。別売りパッケージは既に売った人用でしょう。

追加シナリオとは思えない伏線だらけです


追加シナリオだから手抜きかと思われますが、本編の伏線がかなりあります。(追加シナリオで「伏線」という表現が正しいがわかりませんが

ラウラとシンが主人公

物語は本編から約500年前、メツが世界を滅ぼすために活動し、英雄アデルとヒカリがメツを討伐した時代です。

それだけを聞くと物語の中心はアデルとヒカリではないかと、皆さんは考えると思います。

しかしシナリオはラウラとシンを中心に構成されています。高橋監督も仰っていたように、元々この物語は本編に組み込む予定だったそうです。

それを踏まえると本編の裏の主人公であるシンの内面や動機を描くために彼を主軸にしたのでしょう。

本編を知っていればその後の悲劇を知っているため、より物語に引き込まれます。

マルベーニの思惑

本編だけではマルベーニの目的や思惑が理解できなかったかもしれません。マルベーニの存在感はあれど、自分の本心を出さないキャラクターでした。だから人によってはちぐはぐな印象を持っている方もいるでしょう。

本編をしっかり見ていればわかりますが、断片情報が多いため見逃していた方も多いはず


しかし今回のイーラ編でマルベーニはより自分の思想を表現し、彼の目的を浮かび上がらせます。多少本編よりも過激になっていますが、基本は同じです。

今回のイーラ編をプレイすることで彼がなぜ500年にもわたる一連の騒乱を引き起こしたのかわかります。

本編の主人公はレックス(とホムラ)裏の主人公はシンです。

同様にイーラ編の主人公はシン(とラウラ)裏の主人公はマルベーニと言えます

マルベーニの目的は完全なネタバレになるため、別のページに説明しますが、彼もまた不幸な人間だとわかります。

英雄アデルの人柄

本編では500年前の英雄としてアデルの名前は残っており、正誤とはず様々な伝承が伝わっています。また7章でレックスに語り掛けたアデルも落ち着いていて仲間思いな英雄を彷彿させました。


しかしイーラ編では違っていました。仲間思いと点は同じでしたが、時に悩み、時に傷つくもっと人間味がある一人の人間でした。英雄というよりも頼れる年長者の方が近いと思います。

またヒカリとの距離感もレックスとはかなり異なっています。アデルはヒカリに対して保護者のように接しており、レックスのように仲良く喧嘩することはありませんでした。互いに対等に思っているから喧嘩するのです。

またアデルはメツの脅威的な力を目にして、自分もヒカリで世界を害するのではないかと恐れています。

レックスが7章で「絶対に世界を焼かせない」と宣言したのとは対照的です。もちろんあんな宣言ができたのは、残留思念アデルの助言があったからですが。

誤解してほしくないですが、アデルもヒカリのことを信頼していました。ただヒカリは天の聖杯として自身を特別視していたこともあり、アデルが抑え役に回ることが多かったのです。

ここからは私の想像なのですが、アデル自身もイーラを焼いた自責があり、残留思念のような落ち着いた性格になったのかもしれません。

もしイーラも焼かれず、ヒカリも封印されずアデルがイーラを引き継いでいたら、シンの言っていた通り、あの悲劇は起こらなかったかもしれません。

ラウラの優しさとシンの優しさ

ラウラは10歳の時にシンと同調しました。その後17年間一緒にいました。その絆は様々なところで見られます。それはレックスとホムラ(ヒカリ)以上と言えるかもしれません。

そのラウラを殺されたのですから、シンが本編であのような行動に出ても不思議ではありません。むしろよくあの程度で済んだと言えるでしょう。その理由もラウラの優しさから来ています。

ドライバーはブレイドに大きく影響を与えます。マルベーニの深層心理がメツに影響したように、ラウラの優しさがシンに影響したとみて間違いないでしょう。

傭兵が子供を保護するのは大変だということは言うまでもありません。それでもラウラはサタヒコを保護しました。同じようにシンもニアをはじめとして、ヨシツネ・ベンケイを保護しています。自分が世界から追われているにも関わらずです。

そんな優しい彼女が死に際に最後の願いを口にしたから、シンは500年間ずっと願いを叶え続けたのでしょう。

その他の伏線

他にも本編への伏線はたくさんあります。(追加シナリオで伏線という表現に疑問はありますが)少しだけ紹介します。

ルクスリア建国

エンディングでゼッタ(イーラ王の弟・アデルの叔父)とマルベーニがすれ違う瞬間があります。これは例の密約のためにゼッタが法王庁に来ていたのでしょう。

ブレイドイーター


物語の中でユーディキウムのマンイーターの話とその技術者が出てきます。500年前のこの時からブレイドイーターの話も出てきており、実際に実験体がラスボスです。

メツがラスボスではありません。予想外の人物がラスボスです。

その成果があのイカになるなんて、技術者が報わらない・・・

シナリオ まとめ

まだまだ書きたいことは山ほどありますが、ネタバレもほどほどにするためここまでです。

本編をやっていればイーラ編の結末はわかっています。しかしその過程を見ることでより本編の世界を理解できます。

シンとラウラ、アデルとヒカリ、そしてメツとマルベーニ。彼らがどのように戦い抜いたかわかり、500年後のレックスの時代にどのようにつながるかわかります。

近くの物はより綺麗に、表情も豊かになってます


ゼノブレイド2のウリであるムービーですが、追加シナリオでもよくできています。

上のシーンはヒカリとカグツチの戦闘シーンです。ヒカリのドヤ顔+見下しの表情をうまく表現できています。本編にはない表情なので、このシーンのために追加で作ったのでしょう。

またバトルシーンでも本編と同じクオリティーの臨場感が出ています。特に本編以上にすごいのがロボットの戦闘シーンです。

本編ではあまりなかった天の聖杯のデバイス同士の戦いがかなり作りこまれています。レックスが聞いた「世界を焼く」という表現がよくわかる迫力です。

強いて言うと携帯モードにすると、背景の画質が著しく落ちるのが残念です。エンディングのアデルとシン・ラウラの会話では背景がかなり荒くなっています。

制作陣が作りたかったバトルシステム

本編とは似ていますが、大幅にアレンジされています。本編をやりつくしたプレイヤーも楽しめるようになっています。

アタッカースイッチ・ブレイドスイッチ

アタッカースイッチとブレイドスイッチの違い


本編では基本はドライバーが前衛で敵と戦い、ブレイドは後衛でサポートを行っていました。必殺技の際にはブレイドが攻撃することもありますが、ゲームの世界観もブレイドはドライバーに力を送る役割となっています。

本編ではブレイドの交代を「ブレイドスイッチ」と呼んでいます

イーラ編ではドライバーとブレイドの役割も大きく違っています。ブレイドはドライバーをサポートするだけでなく、ブレイドが前衛に立って敵と戦うこともあり、逆にドライバーが後衛でサポートを行うこともあります。

つまりイーラ編ではドライバーもブレイドも区別せずに戦闘を行い、3人1つのチームとして戦います。

イーラ編で前衛と後衛が交代することを「アタッカースイッチ」と呼びます。

このアタッカースイッチにより本編とイーラ編のゲームシステムが大きく違っています。ブレイドを交代することは「ブレイドスイッチ」と呼びます。

例)シン(ブレイド)とラウラ(ドライバー)の交代は「アタッカースイッチ」、シン(ブレイド)とカスミ(ブレイド)の交代は「ブレイドスイッチ」。

*ブレイドとドライバーの両方が前衛・後衛はあり得ないので、ブレイドとドライバーの交代は自然と「アタッカースイッチ」となります

イーラ編の世界観としても本編から500年前の時代ではブレイドがドライバーにエーテルエネルギーを送る戦闘方法が確立しておらず、それぞれが武器を持って戦っていました。

ラウラとシンはそのころから武器を渡しあって戦闘しており、それを基に本編の戦闘方法が確立されたようです。ラウラとシンの戦闘スタイルの理由が切ないですが・・・

(その理由を聞いたアデルさん)

アタッカースイッチ・ブレイドスイッチの利点

アタッカースイッチを使用すると「スイッチアーツ」という攻撃をしながら交代するします。

スイッチアーツには「リアクション」(ダウン)などが設定されており、後述するドライバーコンボを行うにはこのスイッチアーツが必須となっています。

またアタッカースイッチによってHPを回復することもできます。詳しくはHPの回復方法のところで説明します。

気をつけるのはブレイドスイッチではスイッチアーツ・回復が発生しないことです
自分はそれをしょっちゅう勘違いしていたので気を付けてください。

またアタッカースイッチ・ブレイドスイッチを使用することにより、アーツゲージが回復し連続でアーツを使い続けるすることができます。

本編のブレイドスイッチも同様にアーツゲージを回復することができましたが、イーラ編のスイッチは本編のブレイドスイッチよりもゲージがたまるのが早いです。

そのためアタッカースイッチを使用後に3つのアーツを使い必殺技ゲージをためて、またすぐにアタッカースイッチを使用してアーツを使用するといったこともできます。

アタッカースイッチ・ブレイドスイッチは様々な場面で使用するため、使い方を覚えれば強力なシステムとなります。

ロール(戦闘時の役割)が廃止

本編ではブレイドごとにロールが設定され、攻撃・回復・防御とそれぞれ分かれていました。

人によって様々な組み合わせをして編成を行っていましたが、イーラ編ではそれが廃止されています。

そのため本編とは違ったプレイスタイルが求められます。

正確に言うと仲間のヒューゴのチームが防御で統一されています。そのため安心して敵の攻撃をヒューゴに集めることができますが、カスミ以外は回復アーツを持っていません。如何にしてHPを回復させるかが勝利のカギとなります。

HP回復の方法

カスミの回復アーツを使う

HP回復の一番王道はカスミの回復アーツを使うことです。装備でラウラのエーテル力を高めてカスミの回復アーツを使うと、かなりHPを回復してくれます。

私は基本的にカスミ・ラウラを操作して回復中心に攻略していました。敵の猛攻を受けてもアタッカースイッチでアーツを回復させて、カスミの回復アーツで全体を回復させればほとんどは何とかなります。

アタッカースイッチを使う

上級者向けとなりますが、強烈な全体攻撃を受けても、うまく立て直すことができます。

イーラ編では本編と違いHPに青緑ゲージと赤ゲージの二つが表示されます。なんとアタッカースイッチを使うことで赤ゲージまでHPを回復することができます。

攻撃によっては青緑はほとんど削られても、赤ゲージのはほとんど残っている場合もありますので、9割回復なんてこともあります。

アタッカースイッチを使い、できるだけ回復アーツの使用を温存するのが大切です

ブレイドコンボ


イーラ編では本編に比べてブレイドコンボをつなぎやすく変更されています。ここではどのように変更されたを説明します。

属性制限の廃止

本編では決まった属性で必殺技をつないでいく必要がありました。例えば「火→水→光」はできますが、「火→水→地」はできませんでした。イーラ編ではその制限がなくなり好きな属性を使用することができるようになっています。

本編でコンボルートを覚えたことは無駄になったかというとそんなことはなく、本編のコンボルートでつないでいくとクリティカルルートという様々なボーナスが追加されるブレイドコンボになります。

コンボの順番を覚える必要もなくなり、ゲームの敷居が下がりました。

ボールメーカー標準装備

本編ではボールメーカーというスキルが強力であり、そのスキルの有り無しでゲーム難易度はかなり変わりました。

ブレイドコンボを最後までつなげることで、最後の必殺技の属性に応じて属性玉が付与されます。この属性玉はチェインアタックという大技に深くかかわっており、付与にはかなりの時間が手間がかかっていました。

しかしボールメーカーの内容はブレイドコンボの1段階目、2段階目の必殺技でも属性玉が付与されるため、圧倒的に早く属性玉を用意でき、チェインアタックで大ダメージを出すことができます。

イーラ編ではボールメーカーと同じ仕様で属性玉が付与できるため、本編よりも格段に楽に、属性玉を用意することができます。

ドライバーコンボ

本編では楽にドライバーコンボを行うことができましたが、イーラ編では該当の技が少なくなっており、計画狙わないと難しくなっています。

ブレイドはスイッチアーツでしか、ドライバーコンボをつなぐことができないため、延々とドライバーコンボを狙ってアイテムドロップを集めることも難しいです。

その他の変更点

タレントアーツ

キャラクターごとに個別に設定してあり、本編にはなかった新しい要素です。

HPを半減される、一度戦闘不能になったら使用可能など、使用条件が限られているorデメリットのあるアーツですが、かなり強力な効果を得られます。

ゼノブレイド2の世界観としてブレイドごとに特殊能力を持っていることは、本編でも述べられていました。本編ではスキルとして反映していましたが、イーラ編でより踏み込んで、アーツとしてアーツとして反映しているようです。

カスミのブレイドの能力を抑制する能力は本編でもかなり強そうでした。それがタレントアーツの時の風により反映しており、とても強力です。

光速連撃の弱体化

本編では「天の聖杯」ということで、ヒカリはかなり強力でした。特にその中でも「光速連撃」というスキルは強力でした。

内容が「クリティカルが発生した時、リキャスト100%」だったので、様々な装備を組み合わせることで、無限にアーツ・必殺技を放つことが可能でした。さすがに強すぎると判断され、60%まで減少されています。

しかし因果律予測はそのまま回避率・命中率が50%アップであるので、やはり天の聖杯の名に恥じない強さです。

バトルシステム まとめ

別売りパッケージを出すにふさわしいほど、意欲的に作りこまれています。本編と同様にユニークモンスターもたくさんおり、本編をやりつくした人でも遊び応えがあります。

本編が難しくて投げ出していても、イーラ編のシステムは遊びやすくなっているので、是非ともプレイしてほしいです。

本編よりも詳しく・使いやすいユーザーインターフェイス


黄金の国イーラでは細かいところで追加されています。

地図でアルス内のどこにいるかがわかるようになった。

本編ではフィールドの地図ありましたが、それがアルス内のどこにあるのかはわかりませんでした。アルスは生き物であり、その中で人間たちは暮らしているのですが、町がアルスのどこにあるのかまったくわかりませんでした。

人型アルスのスペルビアはどこに町をつくったのでしょうか?

黄金の国イーラでは地図にアルスの体も表示されることになり、実際の場所が良くわかるようになっています。

キズナギフトを獲得しても条件がわかるようになった

本編ではキズナギフトを獲得すると条件が隠れてしまいましたが、イーラ編では取得しても条件がわかるようになり、他の人に説明しやすくなりました。

TIPS・説明クエストが追加された

多くの人が本編は説明が少なくわかりにくいと言っていました。それを解消するためTIPSが追加されました。

また「ドライバーコンボを5回せよ」のような説明クエストも追加されているため、本編よりも説明は増えていると思います。

欲を言えば、文章の説明だけでなく、実際に操作させるチュートリアルがあると一番です

通常クエストをヒトノワで確認できるようになった

本編ではクエストはクリアすると確認することができませんでした。イーラ編ではクリア後も確認することができるようになりました。

またクエスト依頼者の人物像も表示されることになり、世界観により厚みがでました。

イーラ編はここが惜しかった

通常クエストも強制される

本編では通常クエストを無視してもクリアできたが、追加シナリオではストーリーを進めるためやらざる得ません。

正確にはクリアするためには「ヒトノワ」を4レベルまで上げる必要があり、かなりのクエストをこなす必要があります。

クエスト自体は依頼者の設定などありよくできています。しかしストーリーを先に楽しみプレイヤーにとっては、ただの水増しにしか感じられなくなり非常にもったいないです。

総括 ゼノブレイド2本編をやったなら、必ずやるべきです!

追加シナリオでありながらかなり作りこまれています。様々なところで本編と違いを作っており、やりこんで飽きた人でも楽しめるように工夫されています。

本編を楽しめたならDLCごと「買い」です。ただ本編をやっていない人は完全には楽しめずエンディングを見ても、すっきりしないと思います。