4章でレックス達は法王庁に行くため、スペルビアに立ち寄ることになります。
スザクのコアクリスタルが盗まれるアクシデントもありましたが、無事にスペルビアにたどりつくことができました。
しかしここで疑問が出てきます。なぜホムラやニアも普通に入れたのでしょうか?
レックス達はグーラのスペルビア基地に侵入する騒動を起こしています。わかりやすく例えれば米軍基地に侵入して、テロリストの脱獄させたようなものです。普通に考えれば指名手配されます。
記憶ではニアが「グーラとスペルビア本国では管轄が違うから大丈夫」のようなことを言っていましたがそんなわけありません。
仮に管轄が違うとしても、2章のニア救出の最後にはメレフに見つかり戦闘になっています。メレフはスペルビア特別執権官として皇帝直属であるため、普通であればスペルビア本国にも報告されているはずです。
そもそもニアは以前からイーラのメンバーとして指名手配されていたので、厳重に警備されているはずのスペルビア帝都ではどっちにせよ間違いなく捕まります。
誰がニアの指名手配を解いたのでしょうか?間違いなくメレフです。その根拠として4章の前半にメレフがスペルビア帝都に戻り、ネフェル皇帝に報告しているシーンがあります。その際にスペルビア領内でのニア・レックス達の指名手配を解除したのでしょう。
なぜメレフは指名手配を解除したのでしょうか?ニアはあくまでもホムラをおびき寄せるための人質だったのでわかりますが、スペルビアの利益だけを考えれば天の聖杯であるホムラは指名手配を続けているはずです。
今回はなぜメレフがホムラやニアを見逃したかについて書いていきたいと思います。
結論を先に書くと、メレフはホムラを昔の自分と重ね合わせ、彼女を自由にさせたいと考えたからです。
メレフは次期皇帝として育てられ、自由はなかった
メレフの生い立ちはかなり特殊です。
メレフは皇帝の姪として生まれましたが、当時の皇帝に息子がいなかったため次期皇帝として育てられました。
それは想像を絶する苦労があったと思われます。
男性として育てられる
インヴィディア王国では女性でも女王として君臨できましたが、スペルビア帝国では男性しか帝位を継ぐことができません。
そのためメレフは女性でありながら男として生きることを強要されてきました。
次期皇帝として多くの人間の目にさらされる中、周囲の目を男性としてごまかし続けるのは並大抵の苦労ではなかったと思います。
ネフェルが生まれ、次期皇帝でなくなった作中でも、彼女が軍服を着ているのはその名残と言えるでしょう。
有能な戦士になる必要があった
イーラ編で当時の皇帝ユーゴは「スペルビア皇帝は最前線で戦う責務がある」と言っています。
実際にユーゴには兄がいたにもかかわらず、ドライバーの適性があったからユーゴは皇帝となり、聖杯大戦の最前線で戦いました。
つまりスペルビア皇帝は戦士としても有能である必要があったのです。
女性の身で男性よりも強くなるのは非常に難しいでしょう。それでもメレフはスペルビア最強のドライバーと呼ばれる実力になりました。
そこに至るまでどれほどの鍛錬を積んだのか凡人の私にはわかりません。ただ1つ言えるのはメレフが絶え間ない努力と研鑽を重ねてきたことだけです。
幼い頃から女性でありながら、次期皇帝として育てられたメレフに自由などは一切なかったというのは言うまでもないでしょう。
ネフェルの誕生による影響
メレフは次期皇帝として育てられました。そしてそれは皇帝の息子ネフェルの誕生と皇位継承に終わりを告げたわけですが、帝王学はおそらく作中の数年前くらいまで続いたと考えられます。
その理由としてメレフがカグツチと同調していることです。
先ほども書いた通り、スペルビア皇帝は戦士としても有能である必要があります。メレフは次期皇帝として認められたからこそ、スペルビアの至宝カグツチと同調したと考えられます。
もし皇帝の資質が見極められない幼い頃に、メレフの帝王学が終わっていたら、カグツチと同調することもなかったでしょう。
ネフェルが生まれた後も彼の皇帝の資質が認められるまで、メレフの帝王学は続いたと考えられ、ネフェルの幼い容姿から推測すると作中の数年前まで続いたのではないかと思います。
ネフェルが皇帝として認められるまで、おそらく作中の数年前までメレフには自由がなかったのです。
メレフはホムラと自分を重ねる
帝国最強のドライバーとしてレックス達を圧倒する
そしてメレフは2章の最後にレックス・ホムラと出会います。
捕まえたニアを使って天の聖杯であるホムラを呼び寄せることに成功し、彼らを捕縛するため、ついに剣を交えることになります。
メレフは次期皇帝になるまでに培った経験と研鑽もあり、三対一でありながらレックス達を圧倒します。
レックスの宣言
レックスはメレフに圧倒されながらも倒れません。レックスはホムラを守るために立ち上がります。そして闘志を燃やしながらメレフに宣言します。
「聖杯とか力とか、ホムラを物扱いしているお前なんかに・・・」
「ホムラには行きたいところがあるんだ。その気持ちをお前に閉じ込められてたまるかっ」
メレフは次期皇帝候補として帝王学を学んだことを恨んだり後悔してはいません。ただその時の不自由さを、天の聖杯であるホムラにも与えようとしていることに気づくのです。
メレフはホムラを見逃す
そしてレックスの機転により、メレフは破れ、彼らを逃がすことになりました。通常であれば捜索部隊を送るのですが、メレフは敢えて送りませんでした。
昔の自分と同じように、天の聖杯といえど1人のブレイドの自由を奪うのが忍びなかったのが大きな要因でしょう。
メレフが学んだ歴史では、天の聖杯は3つのアルスを沈めたされ非常に危険な物。しかしレックスのような心優しい少年がドライバーであれば問題ないのではないかと考えたのです。
そのためレックス達の指名手配を解除して自由に旅をできるように手を回したと考えるべきです。
きっとドライバーとしては未熟なところもあるが、レックスの心根のまっすぐさを認め自由にさせたのでしょう。
余談 メレフの誤解
ここからはちょっとした余談です。4章でレックスと再会したメレフがなぜ怒っていたのか、問答無用で戦闘となったのかを説明します。
先に書いたとおり、メレフはレックスを信じて、旅を続けられるように手を回しました。
しかし警備の人間からはレックス達が兵士を攻撃したと連絡があったわけです。
つまりレックスなら天の聖杯を悪事に使わないと期待していたのに、それ裏切ったからここまで怒っていたのでしょう。
普段、冷静なメレフが怒っていたのもちゃんと理由があったのです。