戦国最強と呼ばれた武田の騎馬隊が、織田の鉄砲隊に敗れた長篠の戦い。
諸説様々ですが一貫して言えるのは、精強な武田軍は誰でも使える火縄銃によって敗れたこと。その後の戦で火縄銃が主流になったことです。
これと同じようにアンリアルエンジンが、日本各社のゲーム作成ツールを駆逐して、アンリアルエンジンが主流になると私は思います。
最初に簡潔に書くとアンリアルエンジンにはいくつかの特徴があります。
- わかりやすい
- 使いやすい
- 誰でも使える
そのため様々なプログラミング言語を覚えた友人でさえも、今後アンリアルエンジンが普及することを見据えて乗り換えたそうです。
今回は技術的なところ、例えばCGの美しさなどではなく、ゲームプログラマーである友人の話と実演をもとに、作り手の側に立った普及する点を書いていきたいと思います。
アンリアルエンジンは誰でも使える
そもそもアンリアルエンジンとは何か?ですが、簡単に言うとEpic games社が開発したゲームを作るツールソフトです。FPSゲームのフォートナイトで有名なEpic games社です。
正確に書くときりがありませんが、今回の記事を読む内容であれば、
「アンリアルエンジンは便利なゲーム作成プログラム」ということで大丈夫です。
正確な説明や他のソフトとの関係・補完性は他のサイトの方が詳しいので、そちらを読んでいただいた方が良いです。
さて、このアンリアルエンジンですが、実は誰でも使えます。
Epic games社の社員出なくても使えます。
Epic社と契約した大企業でなくても使えます。
それこそ個人でも使えます。
使用した場合、小規模(売上高が一定以下)であれば無料、
売上が一定以上の商業利用の場合は売上5%を支払えば利用できます。
ここで重要なのは最初はソフト代の支払いがないため、モノづくりの立場からすると非常にありがたいのです。特に売上がないのにソフト代を支払うのはかなりの重荷となりますが、それがないためかなり普及しやすい条件といえます。
アンリアルエンジンはわかりやすい
アンリアルエンジンの特徴として、プログラムをブロック単位に組むことができ、図にまとめることができることです。
プログラムと言えば、皆さんもご存知の通り、アルファベットで長々と書かれているのを想像すると思います。それだとどの範囲まで一連のプログラムなのか、非プログラマーにはわかりにくいです。
それがアンリアルエンジンでは、プログラムをブロック単位で組むことができるため、非常にわかりやすいです。
更にブロック単位になっていることで、プログラムの繰り返し・プログラムの並び替えが
簡単にできるようになっています。
アンリアルエンジンは使いやすい
アンリアルエンジンの強みは少し勉強すれば、プログラマーでなくてもゲームバランスの調整ができることです。
先ほどプログラムをブロック単位でまとめられると書きました。まとめられているため、プログラマー以外でもどの部分が自分の担当なのかわかりやすくなり、覚える範囲を少なくて済んでいます。
例えばプログラムを知らないディレクターが戦闘バランスを調整する際に、調整する項目だけを理解していれば、プログラマーに依頼しなくてもじぶんで調整できるわけです。
キャラクターモーションを調整するのも、その部分さえ理解していれば自分で調整できます。
プログラムをいじるにしても、パーツを取り換えるように、令コマンドを選択すればそれで変更できるので、非プログラマーでも変更しやすくなっています。
勘違いしてほしくないのが、ゲーム開発でプログラマーの専門家が一切いらなくなるというわけではありません。
逆に最初期の環境構築では優秀なプログラマーが必要であり、ここで躓くと後工程の調整でも躓くことになります。
ただそれ以外の方はプログラミング知識がなくても、多少覚えればゲーム開発に参画することができるようになるため、人材採用のハードルを下げることができるのです。
アンリアルエンジンが普及することの影響
アンリアルエンジンが普及すると、ゲーム業界に大きな変化が発生すると予想できます。
人材移動の加速化
これまで各社が独自ツールを使っていたため、社員は退職したらそのツールは使えず、次の会社では新たにその会社の独自ツールを覚える必要がありました。
しかし各社が同じツールを使うことで、この障壁はなくなるため、人事異動は加速すると予想できます。また新たに覚えなおす必要もないため、即戦力として活躍できるようになるでしょう。
逆に他社へ人材が流れていかないように、優秀な社員へのフォローも重要になってきます。
プログラムテクニックの普及
現在はインターネット上にエクセルのテクニックが記載されており、関数はもちろんVBA(エクセルのプログラム言語)のような高度なテクニックも載っています。
これは大勢の方がエクセルを使っており、需要があるから様々な方が載せているわけです。
同じようにアンリアルエンジンが普及して大勢が使うようになれば、 アンリアルエンジンのプログラムテクニックが載ることも充分あり得るわけです。
更にいえば会社で使われているプログラムノウハウが転職に伴う人材移動で伝播していくこともありえます。
プログラムコードをまるまるコピーするのは違法ですが、プログラムを組むノウハウは著作権法の範囲外だからです。
第3社の算入
アンリアルエンジンでゲーム作成ツールの販売が成功を収めたとするなら、他の会社が参入してくるのは当然の摂理です。
算入する会社がただの会社なら変わりはないのですが、算入する会社によっては業界が大きく変わってくるでしょう。
例えば任天堂やソニー、マイクロソフトのハード会社が参入すれば、ハードと紐づいたゲーム作成ツールを提供するでしょう。
もしかしたらツール自体の料金は取らないかもしれませんが、自社のハードのゲームソフトのクオリティを上げる、開発会社を囲い込む戦略として活用されるかもしれません。
クラウドを活用したゲーム事業を立ち上げるグーグルであれば、自社の圧倒的なプログラム技術を用いた、非常に使いやすいツールを作り、自分の事業に引き込もうとするかもしれません。さらに踏み込むと圧倒的な資金力を使い、作ったゲームの買取といったところまで行うかもしれません。
ゲーム作成ツールと言うのは、ゲーム作りの根幹をなしています。世界の各公正取引委員会がどこまで動くかわかりませんが、提供会社の影響力は計り知れないものとなります。
アンリアルエンジンが当たり前の時代
これまではゲーム会社各社が独自に作成ツールを作っていました。友人の話ではそれらは素晴らしい物も多かったそうです。
しかしそれには作成に時間と費用がかかっていました。まるで性能は良いけどお金がかかる「クロスボウ」です。
昔のようなゲーム環境でしたらそれでもよかったと思いますが、年々高度化・複雑化するゲーム作成の現場では、改修費用がかさんで赤字になってしまいます。昔よりも販売本数が少なっている現在では更にそれが顕著です
火縄銃が普及していったように、今後はアンリアルエンジンが普及していくと思います。正確には他社提供の作成ツールを利用することが当たり前になっていくでしょう。
独自ツールが廃れても、会社独自のゲーム作りのノウハウは残り、各社独自の素晴らしいゲームが作られていくと思います。1人のゲーム好きとして、さらにゲーム業界が発展してくれればうれしい限りです。
1人のゲーム好きとして、さらにゲーム業界が発展してくれればうれしい限りです。