今回レビューするのはアトラスからPS3・Xbox360で発売され、PS4でリメイク・追加要素が加わった「キャサリン・フルボディ」です。
ご存じの方も多いですが、旧版のキャサリンは「浮気」を扱ったストーリーで、難易度も相当高かったらしく、かなり人を選ぶゲームだと聞いていました。
私はパズルゲームがあまり得意でないので、クリアできるか心配していました。おそらく制作側もそれを危惧していたのでしょう。リメイクされた今作では難易度が大幅に調整されたこともあり、私でも無事にクリアできました。
ただストーリーはリメイクされた今作でも人を選びます。追加キャラのリン(ピンクの髪の女の子)のルートでもまさに「狂気の修羅場」というべきアニメーションがあります。
かなり際どいシーンが多いのにもかかわらず、CEROが「C」で済まされているのは驚きです。
テンポ良くできる、秀逸なパズルゲーム
大幅に見直された難易度
パズルゲームは難易度調整がすごく難しいです。RPGであればプレイヤー側に「レベル上げ」の選択肢があるので多少ごまかすこともできますが、パズルゲームはそうもいきません。
実際に旧版では難易度が相当難しかったらしく、追加されたイージーですら難しかったと聞いています。
今作では難易度調整が徹底的に見直されたのか、最初から4つの難易度を選ぶことができるようになっています。イージーであれば普通の人でもクリアできるレベルになっており、イージーの下にもセーフティーという難易度が追加されており更に簡単になっています。
もっと言ってしまうと、イージー・セーフティーであればオートプレイという、自動でゴールまで進んでくれる最終兵器もあるので、詰むことはまずありません。
アクションゲーム並の素晴らしい操作性・テンポ
今作のように主人公を動かしてプレイするパズルゲームでよく挙がるのが操作性です。よくあるのが操作性を悪くして難易度を上げる手法がありますが、今作は非常に操作性・テンポが素晴らしいです。
主人公の移動速度もちょうど良く、ブロックを引っ張りもほどよいテンポにつながっています。主人公移動型のパズルゲームの中では最高レベルの操作性・テンポだと思います。
人を選び・設定が散りばめられているストーリー
主人公のヴィンセントを許容できるかどうか
旧版も今作PS4版も「浮気」を扱っているため、合う合わないがはっきり出てきます。特に主人公を許容できるかどうかで楽しめるかどうかも変わってくると思います。
主人公のヴィンセントは真面目で優しい性格となっていますが、優しいが「甘い性格」となってしまっているため、優柔不断な行動ばかりとってしまいます。
ヴィンセントの行動を「まだ浮気継続中、修羅場行きwww」と笑えるのであれば楽しめると思います。逆に私のように「いつまでウダウダやってるんだ、この優柔不断!」とイライラする方は合わないと思います。
様々な設定が散りばめられています
本筋のストーリーは2時間映画に収まるくらいシンプルです。結婚をほのめかす恋人がいるのに、別の女性と浮気してしまい、最終的にどっちを選ぶのか、第三者を選ぶのか誰も選ばないのかという話です。
このように本筋は単純ですが、そこに登場するキャラクターにはそれぞれ悩み・人間関係も設定づけられています。それを1つ1つ見つけていくのも面白いと思います。
リメイク版ということで、今作では金髪(浮気)キャサリンの声を変更することができます。これは課金要素であり、無課金でも2種類選択することができます。私が1番面白いと思ったのは彼女の設定があるからこそ、声の変更が追加できたとわかったことです。
鑑賞モードが欲しかった
今作では様々なアニメーション・1枚絵が用意されており、主人公行きつけのバー「ストレイ・シープ」で携帯を開くことで見返すことができるのですが、その場所ではセーブできません。
だからわざわざそこに行くためにパズルをクリアする必要があります。さらに一部の一枚絵はストーリーを進めると消滅してしまうため、見返すのが非常に難しくなっています。
もし鑑賞モードがあれば、それらをいつもでも見ることができ、クリア状況も把握できるので実装されていればよかったのにと常々思っていました。
一部のグラフィックがぼやけてる?
気になった点としては主人公行きつけのバー「ストレイ・シープ」など一部の場所で画像がぼやけてしまうことです。
パズルゲームの画面ではしっかり輪郭が見えていますし、アニメーションも問題なかったのですが、「ストレイ・シープ」のような場所では輪郭がぼやけてしまっています。
私は通常の薄型PS4でプレイしており、もしかしたら通常のPS4だけの問題で、PS4proではしっかり映るのかもしれませんが結構残念でした。
今作は「浮気」をテーマにしており、登場人物の心情描写が大切になっていきます。声優さんはしっかり演技しているのにもかかわらず、画面に映るキャラクターの表情がぼやけていたので非常にもったいなかったです。
もしかしたらこの部分だけハードの性能が上がったにも関わらず、そのまま流用したのかもしれません。予算・納期の関係で手が回らなかったのかもしれませんが、解像度の統一くらいはして欲しかったです。
まとめ 画竜点睛を欠く
非常に難しかった旧版から一新して、初心者から上級者・旧版経験者まで間口を広げた難易度調整は非常に素晴らしくリメイクの鏡と言えます。
またリンというキャラクターを追加して、新たな展開を作ったのも評価できると思います。もともと悪夢に囚われるという奇想天外な設定だからこそ、リンのシナリオの最後の展開も悪くなかったと思います。
だからこそ一部のグラフィックで解像度が低かったのが非常に惜しいです。画竜点睛を欠くとはまさにこのことだと思います。
修正パッチで解像度がパズルゲームと同等になれば、キャラクターの会話シーンも違和感がなくなり、良い物になると思います。