PS4

ファイナルファンタジー15 レビュー ここが惜しいよ田端さん

予想していたことではありますが、FF15のディレクターを務めていた田端氏がスクエア・エニックスグループから退社されました。

日本の労働法で社員(サラリーマン)はよほどのことがないとクビにできません。それは会社を代表するFFシリーズの大作がコケても不可能です。

なら会社を追い出すにはどうするか?そいつをいったん役員に昇格してから、役員解任すればいいのです。役員は労働法の対象外となるので、この方法なら合法的にクビにできるのです。もちろん役員にするにもかなりの手間と時間がかかりますので普通はしません。

そのため歴代のFFディレクターのように詰め腹を切らされて、田端氏の退職(解任)は既定路線でした。しかし天下のFFシリーズで、まさか有料追加ストーリー(DLC)もなくなるとは思いませんでした。

DLCが全てで尽くしてから、レビューを行おうと思っていました。しかし本当の完結はなくなってしまったのでレビューしたいと思います。

カメラやおにぎり・・・個別に見たら素晴らしい

グラフィックがきれい

近年では海外でグラフィックの素晴らしいゲームが多く出ており、さらにゲームのリアル性を向上させていました。

FF15ではその上をさらにいき、一部では実写と間違うレベルのグラフィックをプレイヤーに見せました。

世界最高レベルではなく、世界一と断言できる作品でした。

カメラ・料理・釣り

今回のは男4人で旅をするということで、それを彩る(面白くする)システムが非常によくできていました。

私個人としてはプロンプトのカメラが一番ツボにはまりました。旅をするならみんな写真を撮りますよね。でもゲームをプレイしながら自分で撮るのはめんどくさい。

なんと今回はプロンプトが写真を撮ってくれているのです。しかもアングルもなかなかよくできています。キャンプで毎回見せてくれますが、結構楽しみにしていました。

今回テーマであった「旅」に合った機能であり、プログラミングも含めて本当にすごく、よく実装したと今でも感心しています。

イグニスの料理は情報誌に載っていた通り、確かに描写が素晴らしく、非常に凝った出来でした。これによって単調になりがちな旅に起伏を出せるようになっています。

ミニゲームもいいのがありましたが、釣りが一番私は好きでした。様々なゲームのミニゲームで釣りは実装されていますが、ここまで丁寧に作られているのも珍しいです。

昔「バス釣りNo1」というゲームに一時期のめり込んでいましたが、それと同じくらいはまっていました。

FFシリーズとは思えない調整不足

良い点も多くあったのですが、「最後の調整ができなかったこと」「全体がちぐはぐであったこと」で大きく評価を下げています。

戦闘バランス・カメラワーク

戦闘にアクション要素を取り入れるコンセプトはよかったと思います。問題はバランス調整が甘かったところです。

・戦闘の味方がすぐに倒されてしまうこと。

・魔法が範囲攻撃で味方を巻き込むこと。

・カメラワークも敵・味方・障害物が多くターゲットを選ぶのも大変なこと。

FFシリーズはグラフィックが有名ですが、FF12までかなり戦闘バランスに力を入れており、それこそ低レベルクリアなどやりこみを行う猛者が現在でもいるくらいです。

それがいつの間にか、これほど底の浅い戦闘バランスにまで劣化するとは思ってもいませんでした。

ストーリー

多くの方が書いているので、支離滅裂とか矛盾とかはここでは書きません。私が書きたいのは、ストーリーと「旅」というテーマが全く噛み合っていないことです。

王国が平和で気軽な男4人旅だったら、車が故障して4人で押しても笑い話で住みますし、寄り道して思い出を作ってもいいと思います。

問題なのはしかし最初から重大なイベントが発生していて、思い出を作っている時間も、遊んでいる余裕なんか一切ないことです。

自分の結婚式に向かう最初から用意された車が故障して4人で押します。仮に日本で皇族の結婚式で車が故障して、皇族が間に合わなかったらどうなるか。車の整備担当はクビですよね。それなのに車の修理費の立て替えも許さずに自分で調達することになります。まったく理解できません。

さらに自分の王国が滅ぼされているのに、「ちょっと○○に行こうよ」とか言ってきます。自分の親が殺されて、王国を再興させるのに寄り道している暇はないでしょう。

最初から絶望的な状況に追い込まれている「ストーリー」と、男4人でワイワイ楽しく旅をする「テーマ」が全く噛み合いませんでした、

オープンワールド

ゼルダのブレス オブ ザ ワイルドという、オープンワールドゲームの名作が出てしまったこともありFF15のオープンワールドは悪く比較されてしましました。

FF15は上に書いた通り、グラフィックが綺麗です。綺麗なグラフィックで作られたFF15世界も綺麗なのですが、綺麗なだけで遊ぶ要素がほとんどないのです。

綺麗な世界にはモンスターも少なく、探す要素も少ない、ただ見るだけのオープンワールドとなっていました。

車の移動も多かったので、これならエリア制のゲームにした方がよかったでしょう。

まとめ 組織の意向に縛られない田端氏の次作に期待します

私も社内官僚として働いているのでわかりますが、今回のFF15は田端氏が自由に作ったのではなく、かなり社内政治の絡んだ役員の意向が働いたと思います。だから田端氏だけを責めるのは酷でしょう。

おそらく戦闘にアクション性を入れたのも、オープンワールドにしたのも、田端氏より上の役員の意向があったのでしょう。

またファミ通などの情報誌で田端氏がビックマウスになったのも広報の兼ね合いもあったのでしょう。その後の炎上も会社との板挟みにあっていたからでしょう。

それを踏まえても、今回のFF15はかなり残念な出来でした。

ゼノブレイド2も任天堂のゼルダ開発に時間も人も取られていたので、結構、アラもありましたが、大事な部分だけはしっかり作りこんでいたので、好きな人には評価される作品となりました。

*ゼノブレイド2はアラのせいで減点評価されるとものすごく点数が悪くなります。実際に私も序盤はつまらないと思っていました。

逆にFF15は柱となる部分がぶれ過ぎてしまったため、大事な部分がおろそかになっていました。

だからカメラなどの一部の出来はものすごくよくできているのに、テーマとストーリーが噛み合わない・調整不足のもったいない作品となってしまいました。

スクエア・エニックスグループから外れたことで、田端氏は自由になりました。田端氏が本当に作りたかったゲームを私は楽しみにしています。